強引上司のターゲット
もともと課長と直接関わる程の仕事はしてないから、仕事の話すら無い。


これが普通なんだ。

課長と過ごした時間なんてほんの一瞬。

これが本当の在り方だ。


頭がパンクしそうな程たくさんの理由で埋め尽くしていると、後輩の美穂ちゃんが「どうしたんですか〜?」と、いかにも興味津々という顔で椅子ごと滑って来た。


「な、何が…?」


仕事中のフロアで誰が聞いてるかわからないのに!
あははと笑って見せるけど、そんな誤魔化しに少しも引いてくれないのが彼女だ。


「眉間にすっごい深いシワ寄ってましたよ〜?まさか…」



…まさか??



「新庄さんと喧嘩ですか〜???」



…お、驚いた。
うひゃひゃ!という言葉がピッタリな顔で言ってのけた口からは、なんと新庄さんの名前が出てきたではないか!


「…っえ?!どういうこと?!!」


「しーっ!先輩!声大きいですよっ!」なんて美穂ちゃんに注意されてしまったのは心外だけど、慌ててトーンを落とした。
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