強引上司のターゲット
「トボけなくてもいいですよ〜ちゃんとわかってますから!
新庄さんと、お付き合いされてるんですよねっ?」
…………?!
………はぁーーー。
完全に誤解されてるのに、解く気にもなれなかった。
黙ったままなのが肯定と取られたのか、ここが仕事中のフロアだなんて気にもしないでマシンガントークを始めた。
「あーあー、新庄さんイイなって思ってたんですよー?でもまぁ、先輩とならお似合いですし、私は引きますから!
課長もいますし☆」
絶対…絶対、一番最後のが本心だ!
美穂ちゃんが新庄さんを狙ってたのは知ってる。
それなのにこんなにもあっさり祝福されるのは、やっぱり課長に狙いを変えたからだ!
本気で、どうでもよくなった。
もう、このままでもいいか?なんて思った。
だけど…噂好きな美穂ちゃんが言ってることは、いつの間にか事実として認識されて広まっていくに違いない!
それは…嫌だ。
もしも課長の耳に入ったら…
いや、課長は関係ないけど。
耐えられない。
やっぱりちゃんと訂正しようと、
「それだけは完全に誤解だから、ほんとに。」と、あえて抑揚のない低い声で言うことで、美穂ちゃんを黙らせた。