強引上司のターゲット
どんなにハリのない毎日でも時間は過ぎていく。

あたしにとって長い長い一日も、課長にとってはあっという間なのかもしれないと思うくらい、時々見る課長は忙しそうにしていた。


噂では大きな契約が取れそうなんだとか。
それなら課長自身が赴くこともあるんだろうし。


美穂ちゃんが誤解してた新庄さんとの話は意外にも広まらなかった。
あの抑揚のない台詞が効いたらしく、
「先輩怖いですぅ〜」と言って困り顔をした彼女は、椅子ごとヒューっと戻って行った。
あんな顔されたら、どんな男性もイチコロだろうなと思う。



あたしはといえば、抜け殻だった先々週の日曜日に比べて、先週末はいつも通り家事をして過ごせたし、あたし自身も思ったより早くにラクになってる。
なんだか分からなかったあの辛さも随分緩和されてるし、あぁあたし、やっぱり間違ってませんでした。
神様、仏様、ご先祖様!
間違ってなかったと答えをくれて、ありがとうございます!

さてと!頑張るか!
小さく笑って両手に拳を作っていると
「元気だな」と、声をかけられた!


パッと顔を向けると、外回りから戻った新庄さんが座ろうとしている。
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