強引上司のターゲット


「あっ、お帰りなさい!」


そういえば、新庄さんとの件はあのまま何も無かった事になってる。
第二会議室で突然キスをされてビックリしたけど、その後の課長とのやりとりの方が印象強過ぎて、あろうことかあたしの中でもたいしたことじゃなくなってた。


「良かった。ずっと、申し訳ないと思ってたんだ。」


元気なかったのは俺のせいだろ?と、相変わらず抑揚のない言い方だけど、伏し目がちの目が本気な感じで。


でも、今更の話題にあたしも戸惑う。
なんで今更謝るんだろう…?
そんな考えが顔に出てたのか、新庄さんがその理由を話し始めた。


「こっちの都合だけど、今の仕事の目処が立ったら話したいと思ってた。」


えぇ…
それは確かにそちらの都合ですよねー…


「ちゃんとお詫びをさせて欲しい。」


今更なのにそういうところ
堅いよねー…


「食事、どう?」


…うぅぅ。
結局、そこに行き着くのね?
結局、食事なのね?
改まってお詫びなんてしてもらわなくていいけどでも、これがいい機会なのかもしれない。

あたしもちゃんと、新庄さんに話そう。
新庄さんを、異性として意識することはないって。
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