強引上司のターゲット

なんとなーく漠然とした不安はあったけど、あたしは新庄さんのお誘いを受けて、金曜日の夜と約束をした。


そしてその金曜日が今日だったりする。


いやまぁ、別にオシャレとかする必要ないし、ていうかオシャレなんかしたらその気あるみたいになっちゃうじゃん！？

なんてブツブツ独り言を言いながら、時間の無い朝から鏡の前で服を悩んだくせに、どんなお店かわかんないからとりあえず無難なのがいいかー…
なんて、悲しいことに最終的にはいつもの無難な自分に落ち着いてしまった。



若干、緊張気味で出社すると噂話で盛り上がる朝のロッカールームで…
捕まった、捕まってしまった！


まるで獲物を見つけた時のような眼球を黒光させてあたしを見るのは、後輩の美穂ちゃんだ。


…うわっ！朝からキツイわ〜。
なんて思いながら苦笑いで返せば、彼女の化粧がいつもより三割増しな事に気が付いた。

そしてその訳はこれから聞かされる話で
納得するんだろう。


「聞いてくださいよぉ〜」


来た！
困ったイントネーションの言葉とは裏腹に、さほど困ってもなさそうな表情！
あざとい！


「昨日、お客さんの希望だからって接待に付き合わされたんですよ〜？」


えっ！
接待に？！
驚いたのは一瞬。
こんなに可愛らしくてあざとい彼女なら、接待には売ってつけだもん。