強引上司のターゲット
あたし、結構大丈夫だと思ってたんだけどなぁ。


元彼のことは案外早く忘れたけど、大丈夫だと思ってた課長のことは…
意外とダメだったみたい。




だって、こんなにも動揺してる。




美穂ちゃんの目が、いつもみたいな黒光どころかピンクのハートで課長の話をするのは、やっぱりそういうことだよね。


脈も無い相手に
こんなに喜んだりしない。


彼女は、美穂ちゃんは察しが良くて可愛らしい子だから、課長の態度で分かってるはずだもん。



きっと…




きっと課長も、そのつもりなんだ。




わざわざ美穂ちゃんを呼んだのも。

ちゃんと守ったのも。




…って

あたし、何嫉妬なんかして。
ふふっ



自分から会わないって言っておいて後輩の喜ばしい話に嫉妬するなんて、あたしってなんて醜いんだろ。


こんな所で泣いたらダメだって思えば思う程、顔面が発熱してくる。
その熱が目の中に溜まって、今にも零れそうだった。


「ごめんね、急ぎの仕事忘れてた!」


彼女の顔を見ないように、彼女に顔を見られないように、下を向いたまま逃げ出した。
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