強引上司のターゲット


「お待たせ致しました。」


低音ボイスが聞こえたと思ったら、さっきの店員さんが、綺麗な所作でドリンクとお料理を運んで来てくれた。

こうやって見ると、ギャルソンエプロンもワイルドな雰囲気もとっても似合ってる。

のに…。


「可愛子ちゃんのカクテルは、俺からのプレゼントね♪」


と、素に戻ればチャラかった!


「ありがとうございます」と受け取ったカクテルは、透き通った綺麗なブルー。


「君、素直そうだよね。ちょっとバカっぽいけど!」


そんなイメージで作ったんだと言った店員さんは、バーテンさんだったらしい。そしてそんな言葉も軽く言われてしまうと妙に納得してしまった。

だってあたし、バカだし。

ずっと。
あの強引な課長に文句も言えないまま好きになんてなっちゃって、挙句の果てに今はこんな。


慌てた新庄さんが「おいっ!」とバーテンさんをしかるのを見て、つい笑ってしまう。
いいんですよ、新庄さん!


「ほら!彼女だって楽しそうじゃん!」
「そういう問題じゃない!」


いつもは絶対見られない新庄さんのプライベートが、とっても新鮮で楽しかった。
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