強引上司のターゲット
四回目のお代わりをしようとして、新庄さんからストップがかかってしまった。


「えーなんでー?!こんなに美味しいのに!」


ブーたれたあたしに


「もう完璧に酔ってる。」


と、いつもの抑揚がない声で言う。


…なによ…覚めちゃうじゃん!


「今日は話がしたいんだ」と言われてハッと思い出した。
そうだ!話すんじゃん!
あたし…酔っちゃって、ダメじゃん!


「ごめんなさい」と謝って姿勢を正した後、どうぞと新庄さんの話を聞く準備をした。


突然の変化にコホンと咳払いをした新庄さんも、座り直す。



「まず…」


まず…?まず?

いくつもあるのか?と思っていると、新庄さんが座ったまま勢い良く頭を下げた。


っえっ?!!

「なっ!何ですか?!やめて下さい!」

なに?なに急に?!
ヤメテヨ!


「この前は、急にあんなことして…怪我させて、悪かった。」


頭を下げたままの新庄さんは表情こそ見えないけど、その声で苦しそうなのがわかる。


あんなこと…って言うのはもちろん、あのキスの事、だ。

確かに驚いたし、しばらくしみたけど。
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