強引上司のターゲット
でも…べつに、大丈夫。
はじめから、大丈夫だった。


「あの、本当に頭上げてください!逆に困りますから!」


そう言って頭を上げてもらってから、あたしはゆっくりと話を始めた。


「確かに、驚いたし…驚いたし、痛かったし。」


チラッと新庄さんを見れば、「ごめん」と小さくなっている。


「でも、まぁ〜人生色々だし!そんなこともありますよね?!だから、大丈夫です、気にしてません!」


そこまで言って、気がついた。

いつの間にか、普通に笑えてる。
新庄さんの前では笑顔を作ってたけど、今は自然と笑えてる。

っはは!おかしいの!


新庄さんは、信じられない、という顔で「ありがとう」と言った。

確かに、こんなに簡単に、大丈夫です!なんておかしいかもしれない。
やっぱりバカなんだと思う。



でも…、そう思えるのは全部…


…全部課長のおかげだから。

あの時、課長がいてくれたから。

課長が、救ってくれたから。



だからあたし、これでいいんだ。
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