好きとスキが重なった日
それから広子先生にお辞儀をして保健室を出る。

それより今って何時間目だろう…?


「ねぇリュウ!今って何時間目か分かる?」


教室に向かう廊下をとぼとぼ歩きながらも、歩幅を緩めないリュウに訊ねた。


リュウは歩く足を止め、時計をしきりに眺める。

ずっと時計ばかり見つめて、何やってるんだろう…?


「リュウ…?」


「あっ、ごめん

今は三時間目が終わる10分前くらいだな」


「そっかぁ!
ありがとう、リュウ」



私がお礼を言うと、再びリュウが歩き始めた。

いつものこと。
いつもの学校生活。
いつものリュウとの会話。


保健室での出来事が嘘みたいに、一瞬で消えていく。


まるで種明かしのないマジックのように・・・
< 202 / 527 >

この作品をシェア

pagetop