好きとスキが重なった日
校長室を出た私は、急いで一階の靴箱へ向かった。

靴箱に向かう際、先生や生徒に見つからないか、ハラハラドキドキ。

途中で先生につかまって、お説教されたくないしなー

私は挙動不審になりながらも、靴箱に着いた。

外靴に履き替えると、誰かいないか辺りを見回す。

そして誰もいないことを確認すると、走って校門を抜けようとした。


何だかまるで、悪いことをした気分を感じる。


すっごく嫌だな。
しかも、コートもカバンも教室に置いてきちゃったし、また取りに戻らないといけないのかな。

せっかくここまで来たのに、戻りたくないとそう思っていた時…

後ろから"ミリー"と私の名前を呼ぶ声がした。

ミリーと呼ぶのはリュウしかいない。



「リュウ…?」

私が恐る恐る後ろを振り返ると、そこには私の手荷物やコートを持っているリュウがいた。

もしそれが先生だったら、物凄く怖いよ…



「ミリー!さっき篠塚から電話があって、"神崎さんは天然でおっちょこちょいだから、コートと手荷物を忘れていたら届けてやってくれ!"って 頼まれた

たまたま教室にいたからさ!
その連絡を受け、ミリーを待ってたんだけど、ミリーが全然戻って来なかったら来ちゃった!

俺も一緒に行こうか?ミリー、すぐ迷子になるからな
一人で電車や地下鉄にも乗れないじゃないか!」


「そうだったんだ!ありがとう
篠塚くん私のことよく見てるよね…

私は大丈夫だよ!バスなら一人で乗れるから!」


「本当に大丈夫か?
行くなら気を付けて行けよ!
何かあったら、俺がすぐに駆けつけて行くから」


「うん!」


それから私にリュウがコートを着せてくれて、カバンを私の手に持たせてくれた。

私にカバンを持たすと、私の手の平に3個キャンディーを握らせるリュウ。

もう!遠足じゃないんだから~!!
でも嬉しいな~


「バスの中で食べな
ミリー飴好きだろ?」


「リュウ、ありがと♪
バスの中で食べるね~!」


「あぁ、それと深瀬によろしくな!
先生にバレる前に早く行けよ」


「えっ…?先生に言ってなかったの!?」


「言ってないよ
って嘘~少しハラハラした方が面白いじゃん!
緊迫しなくて済むし」


「も~止めてよ、リュウ
余計緊迫するじゃん………」


「ごめん、もう言わないから」


「もういいよっ!」


「おう!」


ふんっ と鼻を鳴らしたリュウは、親指を立て、私に向かってグッジョブした。


私もリュウに向かってグッジョブをする。

それより先生に見つかる前に、早く行かなきゃ。
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