好きとスキが重なった日
「何?聞こえない!
悠真、もう一回言って?」


私は悠真に意地悪するみたいに、敢えて聞こえない振りをした。
悠真、どんな反応するのかな…?


「だからー愛してるって言ってんだろ!」


「あぁー!アイスクリーム食べたいんだね!
アイスクリーム食べたかったら、早く体治しなよ!」


急に業とらしく大声を上げてそう言った悠真。

私は救急隊員に聞かれている恥ずかしさから、思わずポッと頬を丸く赤くさせ、悠真の言っている言葉とは違う言葉を言った。


″アイスクリーム″なんて…
″愛してる″とは最初の二語しか合っていない。


″アイ″カタカナを携帯で変換すれば、″愛″



これでやっとようやく分かった。
私は誰かに愛し愛される為に、この地に産まれて来たんだって。


私が産まれた時…

お母さん、お父さん、お姉ちゃん、おばあちゃん、おじいちゃん、親戚の人達。


皆が産まれた私を可愛がってくれた。

その時私はただ笑って、愛想をしていたんだって。

ただ笑っているだけなのに、皆嬉しそうにニコニコしてて、私は皆に笑顔という幸せを送ってた。


今はもう、赤ちゃんの頃とは違って…

面白い番組、ドラマや映画や、そして更に友達の面白い発言くらいしか笑っていない気がする。


昔は、笑えないことでも無邪気にはしゃいで笑ってたのに・・・



いつからだろう。


皆自分のことで一生懸命で、笑うことを忘れ始めているのは・・・


お腹の底から今まで溜め込んできた事を全て吐き出し、笑うのは本当にスッキリしたように気持ちがいい。


でも…

笑い終わった後って本当に呆気なくて、我に返れば、時間に迫られているつまんない世界に戻っちゃうんだよなー。



皆楽しく生きたいのに、世界を皆が協力して発展したり、造ったりしなければ成り立たない。



でも、ずっとずっと幸せでいる心地を感じたいの。


鼻に香る匂いでもいい。

新緑の木々がカサカサと揺れる葉っぱの音でもいい。

水が流れる音でもいい。


身近なことでもいいから、毎日が幸せだと思える日々を大切に送りたい。



月日が経つのはあっという間。

いつの間にか、私はシワが増え、年老いたおばあちゃんになっているんだろうなぁ。
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