好きとスキが重なった日
「俺は藤木直也です!
一度深瀬さんのことでお騒がせしたの、覚えていますか?」

藤木直也って、あの人…?
教室で悠真と入れ替わっていた人。

私あの時、本当にビックリしちゃった。
でも悠真じゃないと知った瞬間、ものすごく安心もした。

だって、眼鏡を外した姿を皆に見られたくなかったから。



前会った時の藤木直也は………


髪が黒髪の少し短髪よりは長めで、ワックスを付けているのか髪は大きく立っていて、前髪は横に流している。
クリーム色の付け毛のような、エクステが何本か付いていた。

耳にピアスをして、首に金の龍のネックレスをしていた。
背は167㎝よりは少し高めで、やっぱりチャラチャラしてる・・・

悠真って、藤木直也と本当に友達なの?



「もちろん覚えていますけど、だからって私の後を付ける必要あります!?」


私は藤木直也を問い詰める。
藤木直也は、参ったと言わんばかりに、全て私に打ち明けてくれた。


「実はさっき、深瀬さんにまた頼まれたんすよ!
美莉亜が心配だから、○○のバス停で待ち伏せして後を付けてくれって…

″自分で行けばいいのに″って言ったら、″俺今入院してるから、病室抜けられないんだ″って言ってました

深瀬さんに頼まれたら、俺断れない主義なんで、だから仕方なく神崎さんの後を付けてきました

すみません」


藤木直也が顔が見えるように私に近づき、お辞儀をした。
本当に申し訳なさそうに、中々お辞儀を止めようとしない。


悠真が藤木直也に頼んだばかりにこんなことに・・・

藤木直也を巻き込むなんて、悠真何考えてるの?
私を心配するのはいいけど、人を巻き込むなんて度が過ぎてる。


「もう頭を上げてください!
今度悠真に頼まれ事をしたら、絶対断ってくださいね?
これ、あくまでも犯罪です!
ストーカーという、れっきとした犯罪ですから
私の中ではね!

せっかくここまで来たんだし、家上がってかない?
ちょうど、一緒に考えて欲しいことがあるの!」


「ありがとうございます
お言葉に甘えて、家にお邪魔させてもらいますね!
勉強ならお断りですよ?」


「違うの!夏海先生の送別会をするから、その案件を私に頼みごとされたの!
だからお願い!手伝って?」


「あぁー!それですか!俺もその送別会に誘われましたよ

だからって、神崎さんも深瀬さんの頼みごと聞いてるじゃないですか!

ここだと寒いので、家上がっていいですか?」


藤木直也は笑ったまでは良かったが、体が次第に振るつき始め、紫色になった唇も振る振るしているから、笑い方が可笑しくなってる。

それもあってか、話を変えるのと同時に笑うのを止めた藤木直也。

でも震えは一向に止まらない。



「アハッ、そうだね!
家入らないと、ここで凍え死んじゃうね

中に入ろっ!藤木くん
私のことは美莉亜でいいよー」


「じゃあ、美莉亜さん」


「うん!藤木くんが呼びやすい呼び方でいいよ」


そう言った私は、藤木直也を家の中まで案内した。
今日に限って、お母さんがいつもより早く帰宅している。

それはお母さんのいつも履いている靴があったからだ!


これはまずい。
藤木くんを私の彼氏だと思うかも・・・


そう思ったものの、もう後には引けなかった。
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