好きとスキが重なった日
「あれは、自殺でも殺害目的でもない
あれは事故だったの…
悠真の幼馴染みの篠塚くんが自殺しようとしていて、それを悠真が助けようと止めにかかった

篠塚くんは、自殺の邪魔をした悠真を振り払おうと包丁を振り回しただけなの!
それが運悪く、悠真のお腹に刺さってしまった
悠真は篠塚くんを守るために庇ったんだよ?」


私は一呼吸を置いて、お母さんに今日あったこと全てを語り出す。
次第にあの場所で起きたことを深く思いだし、涙が溢れた。

ひっく、ひっく、ひぃ

鼻をすするのと同時に、溢れた涙を袖で拭う。



「美莉亜、大変だったね…
怖い思いをしたね…

でももう大丈夫だよ!お母さんが美莉亜のことを守ってあげるから」


お母さんが私を優しく抱き締めながら、涙声でそう言った。

お母さんに私、どれほど迷惑かけたり、心配させてきたんだろう。


それを思い出すと、また涙が滝のようにどっと溢れた。


「お母さん…ありがとう」


「美莉亜」


お母さんの抱き締める力が次第に弱くなる。

お母さんは優しい手で私の頭を撫でた。


もう大丈夫!と言わんばかりに、ホッと私の心が安心した。


お母さんって、やっぱりすごいな~。

お母さんが持っている大きな力によって、涙も次第に治まってくる。



あ!そうだ!藤木くんがいるのを忘れてた。

どうしよう。
私の泣いてる所を見られちゃったよ・・・


そんな時、トイレから水が流れる音が聞こえる。


もしかして、藤木くん!?

ふと後ろを振り返ると、さっきまで後ろにいたはずの藤木くんがいない。


藤木くん、ナイスタイミング!!


私の泣いている姿が藤木くんに見られなくて良かった。

私は藤木くんがリビングに戻ってくる前に、目元から頬にかけて流れた涙を一気に拭う。
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