好きとスキが重なった日
今日予定していた学校行事が終わり、私と悠真は、いつもより少し軽いカバンを軽快に肩にかけ、旧校舎に向かった。

先生が"よい冬休みを~"と言っていたのを耳にすると、明日から冬休みだ~!!よっしゃー!と何故か気合いが入る。


「悠真…明日から冬休みだね!
悠真は何するか決めてるの?」


「うーん…クリスマスに向けての最終手段かな
ほら、俺前に作詞作曲してるって言ったじゃん?
クリスマスになったら、美莉亜に聴かせてあげるから!」


「本当!?それは素敵なプレゼントだねっ」


「そういう美莉亜は何するの?」


「私はゴロゴロするー!後は小説読んだりとか…」


「あーあ、ゴロゴロばっかしてると太るぞ~?」


「いいもん!もう私少し太ってきたし」


「おい!開き直んなよ」


旧校舎に向かう途中…
悠真に冬休みの予定を訊いてみた。

悠真はハニカミながら、最終段階って言っていたけど…
少し疲れた表情をしている。



クリスマスの日に、悠真が作詞作曲した歌が聴けるんだね!
題名は確か…"もっと輝く"だったような…。
恋愛応援ソングだって、そんなことを悠真が言ってた。


それはまるで何かを見透かしたように、私にぴったりの曲だ。



少し意地悪っぽく囁く悠真が、愛おしくて、可愛らしい。
私は悠真の全部が好き。


"そのままでいいよ!"とか、"ありのままのお前が好きだ"って、言ってくれると思っていたのに…

何のフォローもなしに"開き直んなよ"だって。



私…ちょっと以上に悠真に期待しちゃった・・・





廊下を歩く度に色々な生徒とすれ違う。
皆もうすでにうきうきしていた。


旧校舎に近づくにつれ人影は少なくなり、新校舎と旧校舎が繋がっている、校庭の渡り廊下を歩いていると…


雪が降っているのに気がついた。

その雪は本降りに入り、もう淡雪や沫雪ではなくなっている。

花の花壇には、数センチ積もった雪が顔を覗かせていた。



一気に寒くなってきたなぁ~。



まるで、何かを暗示するかのように・・・。
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