好きとスキが重なった日
それからしばらくして、秘密の送別会の会場である教室に着いた。

教室の中に入ると、昨日まではなかったレッドカーペットが顔を覗かせた。


女子チームは皆ドレスアップしていて、逆に男子チームは皆タキシードで、身を引き締めている。

夏海先生の姿がまだない。
その場に居たのは…
明日香、ゆずき、リュウ、明日香の彼氏の熊井秀太がいた。


夏海先生はまだ残っている仕事があるのかな…?


今にも社交ダンスが始まる勢い。


「「深瀬くん、退院おめでとう!!」」


皆が一斉にそう叫んでクラッカーを鳴らす。
拍手も盛大で鳴り止まない。


「皆、ありがとうな!
泣けてくるじゃねぇーか」


悠真は余程嬉しかったのか、Yシャツの裾で涙を拭う真似をした。

悠真はそして、キョロキョロ辺りを見渡しては、装飾に目を向けている。
黒板の文字とイラストのデコレーションを見ては、思わず目頭を熱くさせ、涙を浮かべた。


実はこの黒板は移動式で、2パターン出来る。
なので…
1パターンに悠真、2パターンに夏海先生に向けたイラストとメッセージが書いてある。



悠真に向けたメッセージは、私が全部考えて書いたんだけど…


"悠真、退院おめでとう!!♥
ゆ…悠真が大好きだよ♥
う…産まれてきてくれて、ありがとう!!
ま…また悠真に会えて嬉しいよ♪これからもずっと皆一緒だよ"


私は悠真の名前三字を使って、一字一字のメッセージを綴ることにした。


イラストは、明日香とゆずきが描いてくれたんだけど…


なぜかウェディングドレス姿の私に、タキシード姿の悠真。

その結婚式に出席している仮定で、皆が笑っている似顔絵が描いてある。

似顔絵にも関わらず、皆幸せそうに微笑んでいた。


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