好きとスキが重なった日
「美莉亜、そこで何やってんの?
チョコレートこっそり食べるとか、ずるくね?」


後ろから私の肩を抱き寄せた悠真は、目を細め、笑っていた。


「違うよ!
学校の七つの噂の一つが、一つの蛇口からチョコレート出るって話知ってるでしょ?

今その状態」


「なるほどな~
で、このチョコレートどうすんの?食べるか?」


「いやいや、食べるのはちょっと…」


「いや、こんな貴重なことはないし
せっかくだから一口食べてみようぜ!」





幼い子供のように興味をもたらした悠真は、蛇口を捻らせ、チョコレートを指に垂らした。




まるで、チョコレートフォンデュならぬ…


チョコレートの甘い口づけ。





悠真は自分の指をぺろっと舐めると、″うまい!″と爽やかな笑みを溢し、絶賛している。




そんなに美味しいなら、私もやってみよう!


私も排水溝に流れるチョコレートを見つめながら、指に蛇口から出てくるチョコレートを垂らそうとすると、それを悠真の手によって弾き返された。





そう簡単に食べさせてくれない悠真・・・




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