好きとスキが重なった日
上の空だった私が、現実に戻った時…


「やっぱやーめた」


そう言った悠真は、顔をぷいっと遠ざけてしまう。


「えっ?」


「だって美莉亜、困った顔してんじゃん?」


「そ、それは…ドキドキするからだよ!?」


「俺にドキドキするんだ…」


「そりゃ、異性だもん!」


「そっか、だよな」


「何かあった?」


「いいや、別に…」


「そう」



急に空元気になった悠真が、水が出る蛇口で手を洗い、私と少し距離をとるかのように、モップで掃除をはじめた。




私、何か悠真の気に障るようなことを言っちゃったのかな。
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