片思い。
「あの、さっきはありがとう!」
「……べつに」
「……あ、うん!そうだよね……」
大したことでもなかったか……。
「ちょっと美桜ちゃん!!」
「え、どうしたの楓?」
また何か聞かれるのか……?
「雅ちゃんが、昨日図書室で美桜ちゃんと池宮が話してるとこ見たって!」
……えぇ!?
池宮くんを見てみると、少し驚いたような、申し訳ないような、やってしまったって感じのような、顔をしていた。
「あ、うん。あたし英語苦手でしょ?池宮くんに教えてもらってて……」
「ほんとにそれだけっ!?」
こそこそ話であたしに聞いてくる。
「ホントだよ。っていうか、あたしと池宮くんが話してたら何かまずかったかな?」
楓の言い方だとそう聞こえてならない。
「べ、別にわるくはないんだけど、ごめんね」
「楓変だよ。別に謝らなくていいんだけどさ、何か考えてるの?」
「……うん。あのね、」
そして、楓が何を考えてるのか聞いてみたら、どうしてか、とんでもない誤解をされかかってたらしい。