不機嫌主任の溺愛宣言
「一華……!」
「あっ……ん、あぁっ!忠臣さ、ん……っ」
もどかしい思いで避妊具を装着し、忠臣はたまらず自身を一気に彼女に埋ずめた。ゾクゾクと背筋を駆け上る恐ろしいほどの快感。一華と遂にひとつになれた幸福は彼の心を感激で満たすと同時に、堪えきれない情欲に火を灯す。
まるで自分が獣になってしまったようだと、忠臣は激しく腰を突き動かしながら霞む意識の下で思った。我を忘れ、切なく喘ぐ一華の唇をむさぼりながら――忠臣は、人生で1番幸福な夜を迎えた。
「忠臣さんって、1度火が着くと止まりませんよね」
夜もどっぷりと更け。数多の波と2回の彼の激情で失った体力をようやく回復した一華は、布団の中で忠臣の胸に顔を寄せながら言った。その声にはどこか不貞腐れた抗議の色が含まれている。
「すまない、君が愛しすぎて無理をさせた。……怒っているか?」
左腕に小さな彼女の頭を乗せ、右手で絹のようなフワリとした髪を梳きながら、忠臣は未だ幸せに満ちた声で聞いた。
「怒ってます。……あんなに声出しちゃったの、初めてなんだから……恥ずかしかった」
赤くなった顔を忠臣の胸板に押し付け、くぐもった声で言った一華を、彼は愛しさのあまり思わず抱きしめてしまう。
そんな可愛らしい事を言って、姫崎一華という人間はどこまで俺を惑わせるんだ。と、忠臣は感嘆の溜息さえ零してしまう。
抱きしめられた一華も、彼の背をきゅっと掴み返しながら胸板に顔を埋めたまま、可愛らしく抗議する。
「忠臣さんのエッチ」
「ああ、俺も自分がこんなに欲深いとは初めて知った。全て君のせい、いや、君のおかげだな、一華」
「もう、開き直らないで下さいよ」
「欲深い男は嫌いか?」
「……嫌いなワケないじゃないですか」
甘い甘い夜は更ける。
ふたりは眠りに落ちるまで何度もキスを交わし、忠臣は一晩中、一華を腕から離すことは無かった。