不機嫌主任の溺愛宣言

「私に対する個人的な不満は終業後に改めて聞かせて頂きます。今は物産展の欠勤について――」

いつもならそれで収まる忠臣の冷静で厳しい対応だが、今日ばかりはヒートアップした女の妬みが止まらない。

「何よ、偉ぶっちゃって。裏ではコソコソと姫崎さんと付き合ってたくせに」

「仕事に厳しいフリして姫崎さんにだけはデレデレ甘い顔してたんでしょ?やーらしい」

事態は完全に最悪な状況になっていた。騒つく朝礼の場は統括する忠臣の立場をどんどん窮地へ追いやっていく。

ついに見兼ねた梓が従業員に指示を出そうと一歩前へ出た時だった。

「そもそも姫崎さんのどこがいいのよねー?」

「ちょっと顔がいいからって媚売って贔屓してもらってさ。恥ずかしいと思わないのかしら?」

「どーせ主任だって姫崎さんが美人だから気に入ったんでしょ」

ついに一華にまで攻撃の矛先が及び、それに気付いた右近が慌てて「いい加減にして下さい!朝礼中ですよ!」と止めに入る。

その時。

「……確かに俺は姫崎の美貌が好きだ。それの何が悪い」

朝礼の場を一瞬でシンと静まり返らせる低い声が、忠臣の口から発せられた。
 
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