不機嫌主任の溺愛宣言
「忠臣さん……私が隠し事や誤魔化しが嫌いだって知ってますよね」
あまりに怪しい誤魔化し方をする忠臣に、一華の表情が明らかに不機嫌になった。眉を吊り上げながら上目で見据えてくる一華の表情を(相変わらず怒った顔も可愛いな)などと惚気つつも忠臣は内心ひじょうに焦る。
「その、別に隠してる訳では」
「じゃあ言って下さい。それとも私じゃあリクエストするのも憚られるほど力不足だって言いたいんですか?」
「決してそんな事はない、むしろ君じゃなきゃ意味が無いというか」
「ならば、どうぞ仰って下さい」
「いや、だから、その」
夜中のダイニングキッチンで繰り広げられる押し問答。相変わらず一華のために甘ったるい程ラブリーに飾られた空間で繰り広げられるその様子は、なんとも滑稽な光景だった。
埒が明かないように見えた争いだったが、忠臣の狼狽する様子に再び一華が彼の心理をズバリ察する。
「さては忠臣さん、エッチなリクエスト考えてるんでしょう?」
「なっ!?な、な何を!そんな!」
驚き過ぎて食事を喉に詰まらせそうになった忠臣を見て、なんて分かりやすいんだと一華はヒッソリと感心する。
「忠臣さんが私に隠し事をする時はいつもエッチなことじゃないですか」
「け、決してそんな事は……無いような……あるような」
「もう観念して言うだけ言ってみて下さい。叶えるかどうかは内容に寄りますけど」
そこまで彼女にバレてしまったのなら観念すれば良いものを、忠臣はそれでも自分の願望が変態じみてる気がして躊躇する。