不機嫌主任の溺愛宣言
「だから、その……いずれ、おいおいと言うか」
「ここまで来て言えないって、どんだけ凄いエッチなこと考えてたんですか!?」
「だから言えないと言ってるじゃないか!」
追い詰められてしまい赤面して顔を両手で覆う忠臣を見て、一華まで思わず赤面する。そこまで口に出来ないなんて、一体この男は私に何をさせようと思っていたのか。それを考えると彼女の方が恥ずかしくなってしまい、忠臣をなじらずにはいられないのだった。
「エッチ!忠臣さんのエッチ!」
「わ、分かっている!だからあまり『エッチ』などと連呼しないでくれ!君の愛らしい口から『エッチ』なんて単語が飛び出すだけで、俺はさっきから悶々とした気持ちになっているんだ!」
「な、な、何バカな事言ってるんですか!忠臣さんて本当エッチ!」
さらにこっ恥ずかしい事を言い出した忠臣に、一華はもはや呆れつつ更に赤面してしまう。
「だから、エッチとか言わないでくれ!」
「ああもう分かりました!じゃあ忠臣さんの事はこれからスケベって言います!忠臣さんのスケベ!」
しょうもない言い争いの末に出た単語だったが、それを聞いた忠臣の表情がどこか物悲しくなる。
「……スケベだと、なんだか結構グサッと来るものがあるな……」
「えっ。あ、ゴメンなさい……」
悲しげに呟いた忠臣に、一華も思わず謝ってしまった。訳の分からない展開になってしまい、ダイニングにはしばし妙な沈黙が流れる。
そんな空気を仕切りなおそうと、一華は咳払いを1度すると改めて忠臣を正面から見つめなおした。