今でも ずっと
龍一が、アパートの前で待ってた。
自転車を止めて、すぐにかけよった。

『早かったな。』
「…。」

龍一に抱き付いた。
強く、抱き付いた。

『おい、どうしたんだよ、なんかあったのか?』
「…会いたかった。」
優しく、背中に腕をまわして、抱きしめてくれた。
鼓動が伝わる…。
切なくて、さみしくて、悲しくて、頭の中が混乱してる。
龍一、大好きだよ。
大好き…。

『おい、恥ずかしいから、もういいだろ?
部屋、入るぞ。』

照れくさそうに、先に行く。
いつもと変わらない態度に、なんだか安心する。
変わらないでいいこともある…。

部屋に入って、テレビを見てる。
私は、勝手に冷蔵庫を開ける。
また、たいしたものは入ってない。
オレンジジュースを、コップに注ぎ、お気に入りの窓際に座る。

『おまえ、その位置、好きだよな。』
「…だって、ここから見える夕日、すごく綺麗なんだもん。
歩く人を見るのも、面白いし。
いろんな人が、いるよね…。」

『みんな、それぞれの人生を生きてんだよなあ。』

「そうだね。」


顔が近付いてきて、そっとキスする。
龍一の指が、制服のブラウスのボタンをはずしていく。
太ももを触っていた手が、少しずつ、上にあがってくる。
お互いの息づかいが、ますます緊張を誘う。
自分から求めるように、龍一の髪を撫でる。
激しく愛してくれる。
夕日で、オレンジ色に染まった部屋で、2人で溶けていく。
何度も溶けていく。
軟らかい唇、温かくて、煙草の味。


どのくらいの時間が、経ったのだろう。
ぼうっと、天井を見てた。
隣りで、煙草を吸いながら、ビールを飲んでる龍一。
横になったまま、龍一の顔を、じっと見つめる。
このまま、ここにいたいよ。
龍一と、ずっと一緒にいたいよ。
視線に気付いて、こっちを向いた。
大きな手で、頬を触ってくる。
自分の手を重ねる。
優しく、微笑む。


『花火見に行くぞ。』

「うん。」


起き上がって、少しだけ、ビールをもらう。

龍一…、私の龍一。
大切な人。
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