今でも ずっと
第二章 絆
夢の中の私は、中学1年くらいで、毎回、怯えている。
その夢の中の、中1の私が、また夢を見てる。
幼い頃の自分が、両親に虐待されてる夢…。痛くて、辛くて、許してもらいたくて、泣きじゃくってる。
……ごめんなさい、いうこときくから、ちゃんとするから、ごめんなさい、ごめんなさい。


自分の泣き声で、目が覚める。
涙が、頬を伝ってる…。
それがショックで、また泣いてしまう…。

こんな朝を、何回も何回も、むかえてきた。
忘れたいのに…。

あの頃を、やり直すことなんて出来ないけど、もう一度だけ、普通に愛されたい。
一度でいいから、お母さんに、抱きしめてもらいたい。
ギュッって、してほしい…。
ギュッって。



翌朝、普通に、目覚めた。
また、一日が始まる。
しかたないか…。

今日は、龍一と会える。


今朝は、家の近くで、朋実と待ち合わせしてる。
暑いなぁ。
体か溶けそうだよ。
5分くらいして、朋実がやって来た。

『ごめ~ん、お待たせ。』
「おはよう。」
『今日の補習、数学だよ、最悪~。』
「だよね~。」


なんか、いつもと違う。
朋実に元気がない。
2人で、自転車を走らせながら、沈黙が続く。

「なんか、あったの?」
『…。』
「…。」

朋実の顔を見ると、目に涙を溜めてる。

『…親が。』

言いかけて、泣き出した朋実。
びっくりして、自転車を止める。

大きなポプラの木の下に、自転車を止める。

「どうしたの?」
『…親が離婚するの。』
「えっ!うそっ!なんで?」

びっくりした、ショックだった。

『理由は、よく分かんないけど、私は、お母さんに付いて行くことになってる。…進学も、していいって。』

ぽろぽろと、涙を流す朋実。
ショックだったよね。
あんなに、仲良さそうだったのに、うらやましかったのに…。
朋実の手を握って、泣いた。
行き交う人が、私達を見てる。

朋実、朋実…。
どうしよう、何かしてあげれるのかなぁ…。

「…どっか行こうか。」
『…。』

黙って、うなづく朋実。

自転車を押しながら歩く。
何も話さずに、ゆっくり歩く。
自然に、海のほうへと向かう。
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