今でも ずっと
途中、コンビニで、パンと唐揚げと、おにぎりと、ジュースを買っていく。

学校とは逆の方向…。
なんだか、不思議な感じ…。
いつも、学校さぼって、どこかに行きたい気持ちがあった。
突然の、朋実の話で、こうなっちゃったけど、今日は、これでいいんだ。
これも、ありだよ。


『うわー、気持ちいい。』

目を細めながら、海風に吹かれる朋実。

「来ちゃったね。」
『うん、ありがと。』

少し、さみしそうに、でも、優しい笑顔で、私に笑いかけてくる。
平日の午前中だし、人も少ない。
防波堤の側に、自転車を止めて、砂浜を歩いて行く。
流木を椅子がわりにして、腰をおろす。


『美紅のとこは、まだ殴ってくるの?』
「…今は、そうでもない。」
『そっかあ…。』


水面が、キラキラして眩しい。
遠くに、船が見える。
ぼうっと、海を眺めながら、泣きそうになった。
なんだか、せつないよ…。


『これから、大学生になって、社会人になって…、なんか恐いよねえ。』
「自分が、そうなってる想像が、できないよ。みんな、恐くないのかなあ、いつから大人なんだろね。」
『…。』

時々、沈黙になりながら、ぽつぽつと話していく。


「最初、うちの話、聞いてもらった時、トモ、びっくりしてたよね。ちょっと、ハードだったしね。でも、ちゃんと聞いてくれて、嬉しかったんだあ。」
『当たり前だよ、友達だもん。』
「…うん。」

ありがとう。

海を見ながら、食べる唐揚げも、美味しい…。パンを頬張りながら、朋実が、

『夏休みが終わるまでに、引っ越すから。』
「へ?」
『今の家は、お父さんが住むの。だから、お母さんと私は引っ越すの。』

また、ショックだよ。無理して笑うのをみると、辛くなる…。

『決まったら、招待するよ。』
「うん、絶対、呼んでよね。」


何もしてあげられないね。
こうやって一緒に、海を眺めてるだけ。

ごめんね。

ごめん…。
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