そして君は星になった
「そろそろ帰ろうか。
暗いし危ない。」
黒田くんはゆらりと立ち上がった。
帰りたくないと思った。
このままずっと座って何も考えないで
時が過ぎるのを感じたかった。
「なにしてんの。
ほら、帰るぞ。」
と、なかなか立ち上がらない私を
見て言った。
「帰るとこなんてない。」
「は?」
「私には居場所なんてないから。」
やっと開いた口から出た言葉だった。
だって本当のことだから。
「私にはなにもないんだよ。」