そして君は星になった
涙の意味
*****
「涙、出てるよ。」
そう言うと彼は薄いパーカーの袖で
優しく私の涙を拭った。
拭っても拭っても私の目から溢れ出る
雫はしょっぱかった。
「泣けんじゃん。
あんたは生きてるよ。」
そう言うと彼は来ていたパーカーを
するっと脱いで私の肩にかけた。
彼は背が高いから
上から被せるようにして私にかけたんだ。
すこし残った洗剤の香りと
香水の香り。
涙の味。
海の音。
夕日の色。
私は生きている。