表の顔☆裏の顔
閉店後。
ふぅ〜。
今日は楽しかったな。
和哉さんのいろんな表情も見られたし。
「はぁ〜るぅ〜」
「あっ!夏実〜」
って、夏実なんでニヤニヤしてるんだろ?
「春、随分楽しそうだね?」
「えっ?そう?普通だよ?」
なんだろ。
夏実のニヤニヤした顔が逆に怖い。
「なにが普通よ〜和哉さんと話してる春の顔は恋する乙女の顔よ〜」
えっ?
恋するって....
「えぇぇぇ!?なんでそうなるのよ!?」
ありえないよ。
私が和哉さんに恋?
......ないない!!
もう恋はしないって決めたんだから。
「.....はぁ〜。鈍感なのはわかってたけど、まさか自分の気持ちにまで鈍感だったとはねぇ〜」
鈍感って.....
「ちょっと夏実!さっきから鈍感鈍感って私のどこが鈍感なのよ!?」
「だ〜か〜ら〜!和哉さんのことを好きって気持ちを自分で気付いてないなんて十分鈍感でしょ!?」
また鈍感って....
しかも私が和哉さんを好きだなんて.....
「夏実!私がいつ和哉さんの事を好きって言ったのよ!?」
まったく勝ってに決めつけないでよ!
「....はぁ〜。春、あのね、たしかに春から直接好きって言葉はないわよ。でもね、春の顔を見てたらわかるわよ。今みで見た事ないような幸せそうな顔してるんだもの。」
幸せ?
私が幸せそうな顔してた?
元々不幸だと思った事はない。
今までも十分幸せだったと思う。
私が和哉さんを好き?
.....好きだなんて.....
「.....はぁ〜。まだわからないの?わかった。私の質問が悪かったわ。じゃあこうしましょう。春は和哉さんと一緒にいてどう?どんな気持ち?」
どんな気持ちって.....
「......ん〜。たしかに無表情で無愛想で口数は少ないけど、本当は優しい人かなって思う。なんで?って聞かれたら困るんだけど、話しててそう思った。.....だから、もっと一緒にいたいし、たくさん話したい。もっといろいろ和哉さんの事しりたいと思う。」
「春。それって十分恋じゃない?一緒にいたいんでしょ?もっと知りたいんでしょ?好きだから思う気持ちじゃない?」
「.......」
「春が私に隠し事をしてるのもわかってる。春が話すまで聞くつもりもない。だけど、恋愛は別でしょ?その隠し事のせいで恋愛しないの?もうちょっと自分自身も大切にしなよ。きっと和哉さんなら大丈夫だよ。」
言いたい事だけ言って夏実は帰って行った。