表の顔☆裏の顔
外までお見送りをするのがこの店の決まり。
近藤の後ろをカツカツとヒールを鳴らしながら付いて行く。


「「「いらっしゃいませ」」」

ふと、扉の方向に顔を向けると、
一人のこの店では見たことのない顔があった。
新しいお客様かな?
と思いながら見つめていると

「妬けちゃうなぁ。僕の前であんまり他の男を見つめてないでくれる?」

刹那そうな顔で近藤が春奈の顔を見ていた。

「えっ?そんなんじゃないですよ。見た事のない方だったのでつい.....」

「.....ん、まぁ仕方ないか.....」

ん?
どういう意味だろ?

「まぁそういう事だから春ちゃん。僕も男って事。あんまりここで話してると春ちゃんが怒られたら嫌だから帰るね。」

手をヒラヒラと振りながら帰って行く近藤の背中を春奈は見つめていた。

トボトボと近藤の言った言葉の意味を考えながら控え室に足を進めていた。

さっき入った男の視線も知らないまま....
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