【短】真夏のmystery kiss*+.
プロローグ
――そう、それはまだ午前で
校庭の青々しい桜の木に止まる
セミの声がしつこく聞こえていた。
幸いこの教室はさっきまで私も参加していた
成績が著しく悪い生徒の呼ばれる
補習が行われていたおかげで
冷房は効きっぱなし。
紫―ゆかり―と一緒に帰る約束をしてたけど、
彼女は私とは真逆に優秀生徒のみ参加を許されている
夏期講習に参加した時に出た疑問を解消するために
私を待たせて職員室にいた。
彼女を待ちくたびれた私は
冷えている気持ちの良いこの教室の中で
さっきから座っている椅子の上から動かず
スマホをいじっていた。
それもそろそろ飽きてきたな、なんて
机にうつぶせて、
だんだんと重い瞳が降りてきて……