【短】真夏のmystery kiss*+.
――「おはよう……って、眠れなかったのね?」
私の顔を見るなり、
紫は呆れたように苦笑いをした。
きっと私も朝起きた時自分の顔を見てびっくりしたこの隈に
紫もびっくりしたんだと思う。
「だって、頭ぐるぐるしちゃって……」
2人、駅で合流すると
そのまま学校への道を進む。
いくら講習はやっていても、
夏休み中なのと今は朝早いのとで
周りに人は全然いない。
私たちは誰に会うこともなく、
私が昨日補習で使っていた教室に入った。
改めてここに来ると
昨日のこと、思い出しちゃうな……。
私は無意識のうちに自分の頬を触っていた。
「夏愛?座らないの?」
ドアの近くの、教室の冷房の電源をつけた紫が
先に昨日私が座っていた席の前に腰掛けた。
私は必然的に彼女の前に座り、
昨日のことについて少しずつ伝える。