【短】真夏のmystery kiss*+.
話し終わると、
紫は妙に困惑した顔つきになった。
「でもさ、それってつまりさ、
遼太郎くん以外にも、あの時校舎にいた人で
夏愛のことを好きな人が他にいたってことだよね?」
私を好きな人、かどうかはわからないけど
他に私に、その……キス、した人がいるってことだよね。
「た、多分……」
私がそういうと
紫は考え込むように腕を組んだ。
少しの間、沈黙が続く。
朝からすでに校庭のセミがうるさく鳴いている。
昨日の状況に似ていて、
少しフラッシュバック。
「あの時、この教室に来た、誰か……」
2人ともその条件を満たす人なんて
まったく検討つかずに、
思考が行き止まる。
あの時のあれは、
やっぱ夢だったの……?
「そういえばさ」
紫が急に話し出したことで考えを中断する。
「今日遼太郎君と一緒に来るっていってなかったっけ?
私との待ち合わせで来ちゃってよかったの?」
そうだ、私紫に、
リョウに何て言われたか言ってないんだよね……。