【短】真夏のmystery kiss*+.
「……あれ、矢上さんと津浦さん?」
ドアを開けた人は、すぐに教室にいた私たちを見つけた。
まだ全然補習の始まる時間ではないのに、
とびっくりしているようだ。
「大崎くん!何でここに?」
生徒会の腕章をシャツの右袖につけた彼は
それを触りながら、
「生徒会の当番で、
今週は俺が定期的に校内を見回ってる」
と説明してくれた。
この流れだと自然に……
「君たちは何を?」
ってなりますよね、やっぱり。
でも今ここで
『実は昨日あったことを話していて』
なんて言えない。
私がなんて言ったらいいのかわからず
何も言えないでいると、
「夏愛に勉強教えてーって頼まれちゃって」
咄嗟に紫がそれらしいことで誤魔化してくれる。
「なるほど。
でも、矢上さんって補習に呼ばれるほど成績悪くなかったような」