【短】真夏のmystery kiss*+.
「そんで、その後私の仕事手伝ってくれてさー」
数年前の出来事なのに、
妙に鮮明に覚えている自分にびっくりしながらも
紫に大崎君とのことを話した。
「ほうー、そうか」
話を聞き終わった紫は
探偵みたいにあごに手を当てた。
「え、何が……?」
「うーん……もっと情報がほしいな」
また私は無視で考え込む紫。
答えを待っているうちに
ちらほら教室に人がやってきてしまった。
そうか、もう補習1時間前だ。
「ねえ、紫ってばー!」
そう言いながら肩を揺らすと
「目回るー、やめてー」
なんてふざけられる。
適当に誤魔化されながら
もうこんなに増えた人たちの中で
あの件についてなんて、
話せるわけがなくなってしまった。
「私はただ誰か知りたいだけなのに」
もしかしたら夢かもと思っている気持ちを拭いたい。
夢じゃないのなら、
どうしてあんなことをしたのか
それが聞きたい。
ただそれだけなの。