【短】真夏のmystery kiss*+.



「私ね、文化祭!楽しみにしてるから!

中学生のときも、

大崎くんが行事毎にすごい気合入れて企画してたの見て

いつもかっこいいと思ってたよ!

今回は中学生の時よりも素敵な文化祭にしようねっ」


文化祭が楽しみなのも、

彼がいつでも真剣なのがかっこいいと思うのも、本心。


どうしても嘘で会話を終わらせたくなかったんだ。


私が言い終わって、彼を見ると、

なぜか、顔が真っ赤な大崎くん。


「え、大崎くん……」

名前を呼ぶと彼ははっとした。


いつもクールにかっこいい彼の

こんな真っ赤な顔を見ちゃうなんて。


「あ、……なんでも、ないんだ。悪い」

「ううん」

何に謝られてるのかわからないけど、

真っ赤になってどうしたんだろ。


もしかして、こんな暑い廊下で引き止めちゃったから?


それなら申し訳ないし、早く解散するべきだよね。

「とりあえず、またね!」

去年今年とクラスは違うし、

そうなるとあんまり話す機会がない。

次はいつ会えるかわからない。

そんな彼にまたねというのは変かも知れないけど、

さようならだけはさびしかったから。


言い終わってくるんと向きを変え、

先に行ってしまった2人を追いかけよう――として、


「矢上さん待って」




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