【短】真夏のmystery kiss*+.
驚いて、紫の後ろを見ると、
よく知っている人物が。
「大崎―おおさき―くん!」
「真一―しんいち―!」
私とリョウが一斉に声を上げると、
あの頃とは違い背が高く脚も長く、
だけどあの頃から変わらずに制服をきっちり着て、
その人は涼しそうな顔で私たちを見つめた。
「矢上―やがみ―さん、伊田―いだ―、久しぶりだな」
紫だってこの顔は知っているはずだけど、
私たちが会話をしていることに驚いているらしく
彼女は大きな目を見開いて私と大崎くんを交互に見ている。
「あ、紫、大崎くん!……は知ってるか。
実は同じ中学なんだ、私たち」
「そうなんだ!」
私が紫に事情を説明すると
「よろしく」
と大崎くんは紫の方を向いて声をかけた。
「あっ、はい!よろしくお願いします!津浦―つうら―紫です!」
紫は急に姿勢を正して、
その様子がおかしかった私は笑ってしまった。
「ははっ、そんなに改まらなくても」
私が笑ったことが恥ずかしかったのか、
少し頬を膨らませて
「だって、生徒会長様だよ!?」
なんてムキになっている。
「あはは!!生徒会長『様』ってー!!」
私はつい大声で笑ってしまう。
大崎くんに
「俺だって一生徒だからな。
津浦さんも、普通にしてもらえると嬉しいよ」
眼鏡越しでもわかるその整った顔で
涼しそうに笑われて、
なぜか暑くなってきたような気がするのはきのせいだよね。