あの日の雨が、君を呼んだ。
1
8月、久しぶりの過ごしやすい日だった。
台風でもないのに、強く降る雨。
補習で学校へ登校していた私の半袖のシャツでは少し肌寒かった。
「…ごめん。雨で聞こえない。」
私は目の前に立つ愛する人にそう告げた。
強がりだった、聞こえない訳がなかった。
頭が、鼻の奥が熱い。
心臓がうるさい。
確かに聞こえた「もう会えない」という言葉。