狂愛

「わかった。宜しく。」

そんな張りつめた空気の中で、彼は言葉を発した。それは、まさに”鶴の一声“。一瞬にして、クラスは静まりかえる。

担任教員とボディーガードは顔を見合せる。信じられない、とでも言いたげな表情だった。他人に興味を抱かず、人との繋がりを毛嫌いする彼が、隣の席を許可するなど、誰も想像がつくわけがなかった。

「うん!!宜しくね!」

彼女は嬉しそうにそう言って、席についた。
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