狂愛
「軒くん、軒くん、軒くん!!おめでとう!!」
大きな声を張り上げて彼の所へ駆け寄っていく。
クラスでは、彼女の彼へ対するちょっかいは当たり前の光景になっていてた。
彼はいつもとは違う優しい顔で、駆け寄ってくる彼女に目をやった。
「ほんとすごいよねー軒くんは!同い年とは思えないよー!天才だね!」
ニコニコしながらはしゃぐ彼女。
彼の心が波打つ瞬間。
「ありがとう。」
「え……。」
転校してきてから二ヶ月経ったが、会話を交わしたのは初日のみ。
彼女は驚いて言葉をのみ込む。