狂愛
「軒くんが喋ってくれた……」
彼女は唖然としながら、言葉をもらした。
胸の奥から喜びが沸き上がる。
瞳には涙が浮かぶ。
「なんだよ、俺だって喋るって…」
彼女の顔を覗きこみながら、彼はくすっと笑った。
彼女は、笑いながら頷く。
「今まで無視してたくせに!」
彼と彼女の会話している光景には、クラス中の人がびっくり。
ボディーガードは下を向き、彼と目を合わせないようにしていた。
彼は彼女のことを気に入っている、その事実は誰が見てもすぐわかる。
この日を境に、彼と彼女の距離は一気に縮まった。