狂愛

高校生活はあっという間に過ぎていった。
彼は、中学同様、学校を休んでは研究にあけくれていた。
高校3年に上がった時には、すぐ生徒たちに進路先を確実に定めさせる学校方針。彼女は将来像が固まってなく、間際で地元の四年制大学を受験することを決めた。

「大学行くんだな。」

高校3年の夏休み前の授業中。
彼は乾いた声で話しかけた。

「うん。とりあえずはね。」

「そっか。」

彼は右手を顎にやり、机に肘をつきながら彼女と反対側の方に顔を向け、そっぽを向く。

「俺は、国の研究チームに加わることになってんだ。」

何も言ってないのに、自分のことを話し出す彼。初めてのことだった。

「研究ってさ、解れば解るほど溝にはまってってさ。発見して終わりってわけにはいかねぇんだよ。」

「うん。」

彼女は静かに彼の話を聞いていた。

「それをどうやって活用してくかを考える。その前に、活用に繋がる見込みがある研究だけを国の承諾の元、やってんだけど、発見イコール活用ってなるには、それだけの実験結果が必要なんだよ。」

「………。」
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