狂愛
「×××××××××です。」

彼はすかさず彼女の代わりに答える。
問題を見ただけで一瞬で解る。
まるで解く前から、解答を頭で用意しておいたようなスピードだった。

「せ、正解です。」

教員は彼の発声で冷や汗をかく。
クラスメイトたちは拍手をした。

「先生、悪いけどこの授業時間、真央借ります。」

「え?」

教員は動揺する。
彼は、彼女の腕を掴み、席を立たせる。すかさず自分の鞄を持ち、教室から立ち去ろうとする。

「どこへ行かれるのですか?高浜様。」

教員は慌てて、教室の後方、彼と彼女の元へ小走りで行く。
クラスメイト達も、一斉に後ろに視線をやる。

「何かわたしが高浜様のお気にめすような事でも…」

教員は彼の機嫌をうかがう。

「いや。そうじゃないです。俺の私用ですから、名簿上の授業欠席は俺のとこから二回減らしといて下さい。」

そう言うと彼女の手を引っ張り教室をぬけた。
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