狂愛

「ちょっ…!どこ行くの?」

いきなりの彼の行動に慌てふためく彼女。会話を遮られ、途中終了した話。

「屋上。」

彼はニコッとはにかみ笑いを見せる。
彼が席を立つ際、すかさず肩にかけた彼の鞄。
大事なものでも入れているのだろうか。彼女は屋上に行くまで、黙ったまま彼の横顔を眺めていた。

階段を上がり、屋上に出るドアノブを左手で開ける彼。彼女の手首をしっかり握り、離そうとしなかった。
屋上に出て、ドアを閉めると、ようやく彼は手を離した。
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