狂愛
「やっと心おきなく喋れるな!」
彼はドアをでてすぐ横の中心部の壁に背をもたれかかせながら、ゆっくりとしゃがんだ。
また彼女も同じく、彼の隣にしゃがみこむ。
「さっきの話なんだけどさ…」
彼はゆっくりとした口調で喋り始めた。
「真央の言う通り。卒業したら、俺と真央は一生会えなくなると思う。」
「…………。」
「研究所の中で一生涯過ごす。俺なりに覚悟はできてる。俺が指揮して、研究を進めていく。今の現状的には、研究が進まなければ国が危険な状態に追い込まれてしまう。危ない状況下の中、国民は何も知らずに生活を送ってる。」
「危ない状況って?」
「それは言えない。けど、大丈夫だ。研究所はそれをくい止める以上の発明ができる。」
内部秘密を隠し、言えないことばかりで説明に困っていた。ただでさえ信じ難い内容であるのに、大事な内容は隠して話すと、余計に難解になる。だが、彼女は彼の言うことは全て真実として理解しようとしていた。
「大変だよね軒は。でも、ごめんね。応援できないよ。」
彼女は顔をうずくめる。
「研究研究って…軒は研究のことしか頭にないんだね。」
「それは……」
「ねぇ軒。私はすごく寂しいよ。だけど、軒は違うんだね。」