狂愛

小型通信を使い、男が彼の父(男たちはボスと呼んでいる)に連絡をいれる。

「ボス、神崎真央を連れてきました。これから、ボスの元まで連れていきます。」

ボスの応答はなかったが、男の言葉の後、通信を切る音から、承認がおりたと解釈。男がパスワードを入力すると、鉄で出来た重たい扉が音を立てながら開いた。
そして男たちが中へ入り、鉄の扉を入る時と同じ作業をして、閉める。
その15メートル先に更に扉がある。
上に取り付けてある、人間センサーが起動する。

"人間反応五名。間違いありませんか?"

この人間センサーは、声紋登録されている人の声しか反応しない。
声紋登録をしていない人はこの扉を開けることはできないし、この扉と扉の間の空間は、入り口の扉が開いた五分後、空気中から酸素が取り除かれる。

「はい。」

男が即答える。
だが、扉は反応しない。
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