狂愛

「誰の命令で、何の目的で連れてきた?」

彼は冷たい声で問いかける。
元ボディーガードの口からでる彼の声は、何とも不釣り合いで違和感があった。
男たちは口をつぐむ。
だが徐々に空気が薄くなってきているのを肌身に感じる。額に冷や汗が出始める。

「この女はいいのか?」

彼女を背負っている男がおそるおそる口を開く。

「あ"ぁ?」

低く怒りのこもった声で彼は聞き返す。

「俺らが死んだらこの女も、恐らく命を落とすことになるぞ。それに、俺らはこの女を簡単に殺せる状況だ。」
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