狂愛

「そんな…」

彼は耳を疑った。
なぜ、彼女が父を殺そうとしたのか。
なぜ、父と接触することができたのか。
そして、それが真実かどうか。

「ゲホッゲホッ…」

男たちは急に咳き込み出す。
酸素量が急激に少なくなったようだった。
彼はすかさず外側の扉を開ける。
一気に外の空気が入り込む。

「任務失敗だな、お前ら。ここから逃げてもすぐ跡がつく。ボスに殺されるか、俺につくか。どっちを選ぶ?」

彼はまだ元ボディーガードの男を操りながら、喋り続ける。
彼には殺意はなかった。
だが、このまま男たちを外へ逃がすつもりもない。
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