狂愛

「軒様…。数々の暴言、申し訳ありません。わたしどもは、これからの人生を軒様に…」

「早くのれ。両方の扉が30秒以上開いていると上のセンサーが避難信号を出す。」

男の声を遮り、彼は冷静な口調で語りかける。
男たちは慌てて走りよる。
彼は所内移動装置の後方に設置されてある扉を開けて男たちを誘導する。
この装置は、上は半円の特殊な強化ガラスになっていて、この所内移動装置の使用は彼の許可を得てのこととなる。研究所内は未知の広さで、上は二階までで、二階はボスの所有となっていて、そこで何が行われているかは彼すらわからない。一階は、外出可能な研究者たちの発表段階にいった発明や、製品化した発明の二次具現化をしたりする研究者たちで構成されており、研究者としては簡単な作業のフロアで、面積も横縦共に千㍍といったところだ。
だが、地下にある研究施設は桁外れの広さだった。
地下は五十階にも及び、各研究内容により、階の中でも何百という部門に分けられており、それを彼は一人でまとめあげていた。

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