狂愛
所内移動装置は49階に着く。
センサーランプが赤く点灯し、49階の扉が開かれる。中へ装置が入ると扉はしまり、装置は奥へと進んでいく。
「ここ49階は研究材料とされている人間達を隔離している檻や、その人間達を使った研究が行われていたりと、血生臭いフロアだ。お前らの中に埋め込まれてる殺害用人工細菌が作られたのもここだ。だが、この49階だけはその細菌が効力を持たない。そういうシステムで作られた細菌だからだ。つまり、お前らにはこのフロアで職に付き、生涯を過ごしてもらうことになる。いいか?」
【はい。】
三人は声を揃えて返事をする。
人工細菌を体内から抹消することはできるが、元々この49階からの脱出者を殺害する用につくられた細菌。細菌性は強く、抹消後は大きな後遺症が残ることは間違いない。
この研究所からは出れない三人だ。
ならば、このフロアにとどめ、変わらぬ体で過ごした方が幸いだろう。という、彼の判断からの指示だった。